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劇場版アイドルマスターの感想とか その2 春香さん編

「輝きの向こう側へ!」を観て思ったことをぽちぽちと書き留めました。
その2、春香さん編。テレビシリーズからの総括じみてしまいました。
ドン引きの長さです。


なんかどえらい球投げてきてた。

と気付いたのは、二度目の視聴中でした。ウワアァーッとなりました。
正直、テレビの春香さんにはずっと引っかかりを覚えていたのですが、それがズバーンって感じでヨロシクちゃんされました。アニメ「THE IDOLM@STER」の天海春香はこうじゃ!というのが、ついに実を結んだように思います。
意味不明ですね。

中村繪里子さんが舞台挨拶で春香の成長に言及していましたが、一度目の視聴では頭がワーッとなっちゃって、うおーM@STERPIECEうおー……あ、終わった…………アレどこが成長してたんだっけ。という感じでした。二度目からフシアナ・アイで春香さんを追いかけて、やっとつかめたかなと。

「私は天海春香だから」の巻
「今の全部で」の巻
「憧れを忘れなければ、いつか絶対」の巻

の三本でお届けします。
さて、ヒップ以外にどこが育ったんですかねえ、げへへ。


■「だって私は、天海春香だから」の巻■

自分を信じられるようになって、仲間を信じられるようになって、だからやっと天海春香としてしっかり立てるようになった、ということだと思うわけです。

gundam1.jpg

じゃあなにかい、今まで自分も仲間も信じてなかったんかい、というと……たぶん、そう。信じきれていなかった。そこが引っかかっていたんですよ。いま思えば。

①自分を信じること

テレビと劇場版の間でおこりはじめた変化です。
春香さん、大きくなりました。自信がもてるようになりました。「みんなすごいなあ」の「みんな」から無意識に自分を除いていた頃とはもう……あ、ティッシュ、ティッシュ。

劇場版の冒頭、千早と美希の海外行きに鼻高々のPへ「二人だけじゃなくて、他のみんなもがんばってるんですよ!」と切り返せる、ここからすでに成長した姿を見せていたんですね。

テレビの頃だったらきっと、「すごいですよね、千早ちゃんも美希も」なんて返していたでしょう。1stライブの舞台袖でも、生っすかの休憩時間でも、頭角をあらわす美希を見て「すごいなあ」で終わってしまっていました。「私だって!」という気持ちが欠けていました。人を素直に認められるのは春香の美点だけど、そこに並び立とうとする気概や自負は育っていませんでした。

変わりました、春香さん。2ndライブやミュージカルの主役、アイドルアワードの受賞を経て、アイドルとしての自信・自負が生まれたことによるものでしょうか。
これは目立たない変化です。劇中でも特にクローズアップされてはいません。でも、これが欠けていては、のちにくる最後のステップを進めなかったと思います。

②仲間を信じること

なんという恥ずかしフレーズ。
劇場版で特に大きく描かれた変化です。
さあ、ここは前置き長いよ!

春香さんは、人に頼られたらいくらでもがんばれるのに、人を頼ることはヘタでした。ヒーローの宿命かもしれません。今まで春香はたくさんの人を助けてきました。テレビでは千早。映画では可奈。アニマスの枠を飛び出して遡ってゆけば、DSの愛に、SPの響に、ドラマCD Scene.03のアヤ。あと、地球。

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春香さんはいつも助ける側でした。そこを初めて破ったのはアイドルマスター2でしょうか。ユニットリーダーとしての重圧に潰されかけていた春香を、ユニットメンバーをはじめとする765プロの仲間が助けました。ゲームの特性もあって、うまく描けていたとは言いがたいですが、好きなお話です。

テレビでも春香にピンチが訪れました。春香はそれをひとりで乗り切ってしまいました。24話です。
正直なところ、はじめて観たとき、釈然としませんでした。なぜ春香は、自分から助けを求めることができなかったのか。誰かが求めればいつでも応える、それが春香の守りたかった765プロではないのか。さんざん人の世話焼いといて、手前の世話だけ焼かせちゃくれねェたァ、ふてぇやろうだ!

春香はこわがりです。人に体重を預けて、その人の負担になることがこわい。それでも、

「でもみんな、イヤじゃないかなって思ったの。私の『みんなで楽しく』が、みんなの負担になっちゃわないかなって思ったら、こわくて」

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「大丈夫だよ、きっと大丈夫。私は、みんなを信じてるもん」

ここまではたどりつきました。でも、

どうして早く言わなかったのよ、バカ!
(全身をクネクネさせながら)

765プロのみんなは、春香がきちんとSOSを発してくれれば、いつでも飛び出せるはずだったのに。春香がひとりで抱え込んでしまったせいで、ただ待つことしかできなかった。すこしだけヒントを得ていた千早が察して動いてくれなければ、それすらもできませんでした。
このときの春香、「答え」の原型ははじめから自分の中にもっていたんですよね。ただそれを表現できなかっただけで。千早が春香の様子から答えを推察できたというのは、そういうことだと思います。だから、もっと早く、うまく説明できなくてもいいから、思いのたけをぶちまけていれば、そこからみんなで着地点を探ることができたはずです。春香が自ら社長に直談判することだってできた。

春香は、仲間を信じきれなかったがために、みんなに頼ってもいいんだと思いきれなかったがために、自分からアクションをおこすことができなかった。しかも、Pが結果だけを見て春香を肯定してしまった。もちろん、ひとりでつらい戦いをしてきた春香をねぎらい、自分の答えを見つけたことを褒めてあげる、これは絶対に必要でした。でも同時に、ひとりで片をつけようとして問題を大きくしてしまったことを、叱ってあげなければいけなかった。春香の人格の成長のためだけでなく、プロとして仕事をしていく上でも重要なことです。Pだって神ならぬ若者だし、春香が戦った過程を見ていないから仕方ないのですが……。
このあたりが、テレビシリーズの物語に感じていた最大の引っかかりです。
そこを劇場版では……いや、また同じ轍を踏みかけるんですけどね。あまつさえ、もっと大きな地雷を踏み抜きかけるんですけどね。テレビと違うのは、春香が自分で自分の「答え」を出す力をもっていると、24話を経てみんなが知っていること。

あー、やっと劇場版の話ができる!

「仲間を信じること」に関して言えば、春香が成長する瞬間は最終盤。
過程、長いよ!(ニッコリ)

切り込み隊長・伊織。
中盤、ライブの演出を変更するかという話し合いのあたりからですかね。
志保が春香に食ってかかります。正論という名の凶器でがっつんがっつん殴りかかります。可奈から届いたメールを見てさらにヒートアップ(志保の表情から、可奈があきらめたことに誰よりもショックを受けていることがわかりますが、そのあたりはまた志保編で)。

「どうしてあなたがリーダーなんですか!」
「はい、ストーーーップ!」

ここの伊織はすごい。
伊織は志保のスタンスを知っていました。自分のスタンスも志保に伝えていました。伊織だけが志保に対して説得力をもつことができた。さらに春香も叱ってみせることで、単に友達をかばっているわけじゃない、と他のスクール組にも示しをつけながら、自分が場を預かった。もう時間はあまりないわよ、と言いながら、時間を稼いでくれた。

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どれだけのものをこらえて、そんなことができたんでしょうか。
伊織は竜宮小町のリーダーとして、765プロの先陣を切ってきました。春香がリーダーに決まったとき、伊織だけが一瞬、ホントに大丈夫かしら?という表情を見せます。それでも春香なら、と認めた。1stライブに向かう車中で、到着が遅れることを、765プロの最高のパフォーマンスを見せられないことを、泣くほど悔しがっていた伊織がです。
私がリーダーだったら!という歯がゆさはつねに感じていたでしょう。ずっと自制していたんでしょう。話し合いのときだって、気持ちとしては、煮え切らない春香の襟首をひっつかんでガタガタ言わせてやりたかったでしょう(そこまで柄は悪くない)。そこをあのキタザワとかいうヤロー、遠慮ナシに自分の理屈だけぶちまけやがって!(そこまで口は悪くない)
それらをすべて呑み込んで、伊織はあの位置に立っていたんですよね。
すげえよ、いおりん!

覚悟を決めなさい、と伊織は言いました。春香に必要なものでした。実は、春香はすでに答えに辿りつきかけていたんですよね。すべては可奈の気持ちを確かめてからだ、と。そこには、可奈は本当はあきらめていないはずだという直感が隠れています。でも、自信がもてない。説明できない。だから今の今までアクションをおこせず、志保が爆発してしまった。まだ24話から成長していません。

さて次は化粧室、春香と美希のシーンですが……美希の話は特に長いのでまた後で。これテレビと、さらに2週目特典コミックからも尾を引いてるやつだからね。役割としては、みきやんないよ、はるかやんなよ、の姿勢を春香に見せること。そして、春香が自分の答えを出した先で待っている、と告げること。
あのとき、なぜまだ美希が残っていたか。トレーニングウェアのままで。みんなもう着替えて移動しはじめているのに。美希、残って練習してたんじゃないかな。「ミキもやれることをやるの」というのはそういうこと。だから、いつでも答え出してこい、どんな答えでも応えてみせる、と。
いやこれ、美希の心情を考えたらホントおっとこまえで……まあ、また後で。

伊織、美希、とパスがつながってきて、ストライカー千早。
喫茶店、春香と千早のシーン。
直前、千早はタクシーで移動するところでしたが、どうしても春香が気になって残る。虫の知らせかもしれません。いや、死にませんけど。でもここで千早がいなかったら、私たちの知るアイドル天海春香は死んでいたと言っても過言ではない気がしなくもない。

覚悟を決めろ、という伊織の言葉を、春香は誤解してしまっていました。伊織は、アンタの答えでみんなと向き合う覚悟を決めろ、と言いました。ところが春香は、みんなの答えを受け止める器になる覚悟を決める、という方向に踏み出そうとしてしまいます。
千早にひとまずの弱音を吐いたあと、春香は窓に映る自分の顔を見て、弱気はいけないと思い直します。それはいい。問題はそのあと。「だめだね、もっとしっかりして、リーダーとしてみんなをまとめなきゃ」。おや……? 私という個人のことは置いておいて、という意味合いにきこえました(かなり微妙なニュアンスですが、その後のやりとりを見るに)。
なんだそれ? フル・フロンタルにでもなるつもりか?
もしこのとき誰も止めてくれなかったら。このやり方でいい、と春香が思ってしまったら。「私」を殺して人の願いを受ける器になってしまったら。想像すると、ちょっとぞっとします。まあ、あの765プロでそんなことにはならないでしょうけれども。



踏み外しかけた春香を、千早が止めてくれました。春香らしい答えがいい。春香の気持ちで答えればいい。
春香は言います。「こわいんだ、まちがってるんじゃないかって」。24話のリフレインです。ああ、やっぱりまだそこで止まってしまっていたんだ。ずっと解き残していた問題。春香はふたたびそれと対峙しています。だから、

「私もみんなも、まだ春香の答えをきいてない」

  もう   もうね

羽一枚を落とすような、そっとした言葉だと思います。千早は、春香がもう答えをもっていること、それを表現できないでいるだけだということを知っているから、こういう言い方ができる。そっと背中を押す手は必要だけど、でも本当にそれだけで足りると知っているから、この一言。聞いた瞬間に春香の目が輝いて、スイッチが入ったことがわかります。
20話を経て、千早は自分を救ったヒーローの姿を目に焼き付けていたんですよね。だから今度は自分の番だと。千早は春香を一番近くで見ていました。20話のあとから、劇場版でもはじめから、千早は春香をずっと気にしています。春香を救いに飛び出せる瞬間を待っていた。そして、そのときが来た。

やった!

春香がまいてきた種が芽吹いたからこそだと思います。そうして得たものが、春香の背中を押しました。天から降ってきたものではない、春香の力です。情けは人のためならず、とはよく言ったもので。

こうして春香は、可奈にぶつかることができました。このとき、劇場版までに育ててきた自信、可奈の憧れを受けたという自負も春香を助けました。「すこしだけなら、うぬぼれてもいいよね」。Pが遺した言葉(死んではいない)も力になりました。「今を大切に」(これは後述)。
可奈を探すため、みんなに助けを乞うことができました。雨の中で走り出したときの真の表情、何度見てもいいです。真も、春香が答えを出してくることを「知って」待っていた。へへっ、焦らしてくれるじゃないか、という嬉しそうな顔です。
みんなで走り出す直前、雪歩の台詞もいいですね。もっと頼ってほしい。迷惑なんて考えなくていい。どうしたいかだけでいい。後輩たちに対するのと同時に、そのまま春香に向かう言葉でもあります。この重ね方は実にニクイ。
もう志保に詰め寄られても小揺るぎもしない。春香さん、もうスイッチ入ったからね。炎となったガンバスターは無敵だからね。

noriko.jpg

アリーナで、答えをみんなに告げることができました。
そしてやっと、ちゃんと叱ってもらえました。
伊織の「バカ」がねえ、もうねえ。
美希の「ホントこわがりなの」。うん。うん。

千早は春香の背に手をあててくれていました。
まちがったって、転んだって、ですよ。

この瞬間にようやく、春香の成長は実を結んだのだと思います。

長かったなー!

③私は天海春香だから

春香がここまでで得たものを糧に、もう一歩先に進んだことを示す言葉です。

「自分」と「みんな」の切り分け、という観点から春香の成長をとらえなおしてみます。
通称「春香は春香。765プロの一員だけど天海春香でもあるんだよ」問題。

テレビ・劇場版を通してみた春香の変化は、アイドルとしての成長もさることながら、子供が大きくなっていく過程のような成長だなあという印象を受けました。子育ての経験も知識もないので、印象でしかありませんが。
小さい子供は、自己と他者の区別が曖昧なのだそうですね。アニメの春香も長らく、天海春香という「個」と765プロという「全」の区別が曖昧だったように思います。個人プロデュースを前提としたゲームの春香にはない特徴です。

アニメの「765プロ」は、単なる所属事務所ではなく、13人でひとつのユニットです。劇中、テレビ番組では「765プロ」と呼ばれています。新曲の宣伝ポスターには「765 PRO ALL STARS」とクレジットされています。「765プロ」と「竜宮小町」は、「モーニング娘。」と「ミニモニ。」のような関係として世間にとらえられているのかもしれません。
そういう環境で活動してきた春香は、ひとりの、個人のアイドルとしての意識が希薄です。自分を765プロという群体(サンゴとかのあれです)の一部のようにとらえている節があります。だから、仲間が一歩先んじて功績を挙げたときも、自分のことのように(まさしく「自分」のことのように)喜びこそすれ、悔しがるそぶりは見せません。
23話、春香と美希のどちらかをミュージカルの主役に、というときも、美希に「いっしょにがんばろう」ともちかけます。春香としては、どちらも765プロなのだから、それでいい。しかし当然、美希は反発します。美希は揺るぎない「個」をもつ子です。

あ、劇場版2週目来場特典コミックのネタバレ入ります。

このコミックで、春香が「個」を確立しはじめるきっかけが描かれています。
アイドルアワード受賞の報を受けた春香は、

「この賞、『765プロ』ってことにできませんか?」
(関係ないけど「relations」を思い出してニヤリ)

と言い出します。23話と同じ轍。美希、今度こそブチギレ。けれど、

「春香は春香。765プロの一員だけど天海春香でもあるんだよ」

春香の抱えている問題を、ズバッと指摘してくれます。お美事。この時点から、春香の中で「個」と「全」の対立がぐるぐるしはじめたのではないでしょうか。劇場版の「二人だけじゃなくて、他のみんなもがんばってるんですよ!」という台詞は、「個」の発露でもあります。
(ちなみにこの直後、別の会話で伊織に「私の道は私が決める」という台詞があります。
 伊織も美希と並んで、揺るぎない強烈な「個」から出発してきた子です)
春香さん、はじめの一歩を踏み出しました。ただ、これはまだ小さな芽でしかなかった。劇場版の中で、またしても同じ問題に引っかかります。そのときの美希はというと、

「私、どうしたらいいのかな……?」
「ミキは春香じゃないからわかんないかな」

化粧室のシーンです。美希、いい親になるよ。この場面、美希は最後に振り向くまでの間、春香と目を合わせません。たぶん、目が合ったらぶん殴っちゃうから(ぶん殴りはしない)。
このときの春香は、自分の答えを出す前から、人にすがろうとしてしまっています。それでは、個人と個人の信頼にもとづく助けあいではなくて、幼子が親に心身を委ねるような関係になってしまいます。だから美希は、まず自分で答えを出しなさい、と突き放した。
初見時は不自然に冷たい態度と見えましたが、いま思えば、美希は美希でいろいろな思いを必死に押し殺していたからではないかと。だって、ハニーがとってきてくれたミュージカルの主役も、ハニーが選んでくれたライブのリーダーも、美希が本当に欲しかったものはぜんぶ春香がもっていっちゃったんですよ。でも、春香こそがそれに値すると思ったから認めた。その春香があれだったら、そりゃさあ!
怒りだけじゃない。ライバルだけど仲間だから、悩んでいるなら助けてやりたい。美希は美希なりに、自分がリーダーだったらこうする、という答えをもっていたはずです。でも、それを告げたら、春香は自分の答えを出さずに美希に従ってしまうかもしれない。あの時点の春香は、そういう危うさをもっていました。23話や特典コミックを経て、美希は春香のそういう部分を見ていた。その美希だからできた立ち回りです。いま自分が手を出したら春香はダメになると感じたのでしょう。
だから、こらえた。えらいぞ、美希!
(劇場版は、描かずに想像させるのが本当にうまいと思います。
 視聴者各自の中にある765プロ像を引き出すトリガーがそこかしこに)

春香が「個」と「全」の切り分けにたどりついたきっかけは、もうひとつあります。
プロデューサーのハリウッド行きです。Pは、春香の考えていた「みんないっしょに」からまず自分を切り離してみせることで、新しい形を提示します。お、いい仕事したな、俺。

合宿最終日、ハリウッド行きが明かされたあとのPと春香の会話。

「みんな、それぞれの道を歩いて行くんですね」

春香だって、何もいま初めて気付いたわけではありません。テレビのときから感じていて、でも肯定できずにいたことです。それがこじれたのが24話(24話の業は深い)。「個」と「全」とごっちゃにしていた春香にとって、みんながバラバラになるかもしれないというのは、そのまま自分自身を引き裂かれるような恐怖だったのでしょう。だからあれだけ過剰に反応した(うん、過剰なんですよね)。
いま、すでに避けられない状態で、ただ以前よりは穏やかに、ふたたびその問題に向かいました。春香は、表面上は平静です。プロデューサーさんが安心して発てるようにがんばります、と。でも、どこか上滑りしていて、気持ちがついてきていないまま、リビングデッド状態で話しているように見えます。リーダーとしての責務が、リーダーとしての言葉を春香に吐かせています(この芝居もすごい)。
だからPは、春香個人の話題に切り換えた。10年後の春香はどうなっているのか。ぶっちゃけ、先の問題のペンディングです。いまここでPがそれを解決してはいけない、と思ったのか。メタ的に考えてみますと、ゲームはPとアイドルの話、アニメはアイドルたちの話です。ゲームだったら、ここでPが春香を助けて問題解決に向かったでしょう。でもこれはアニメだから。……このあたりもうちょい、メタを持ち出さずとも納得できる描写があればよかった気がしますが、難しいところです。P自体が半メタな存在ですし。単に、私が何か見落としているだけかもしれませんが。

ともあれ、先送り。でも、春香が新しい「みんないっしょに」のあり方に辿りつくためのヒントを残していきました。「俺はお前たちのプロデューサーだからな」。やっすい字面やな! しかし、ハリウッドに行って離ればなれにはなるけれど、というところからつなげて読むと、意味がわかってきます。それぞれの道を歩いていても、それはみんながバラバラだということではない。「みんな」はそんなにヤワじゃない。だから、こわがらなくていい。Pはそう言っています。

みんな、それぞれの道を歩いて行くということ。
春香も春香の道を歩いて行くということ。
みんな並んで同じ道を歩いて行くのではないということ。
でも、それぞれの道を歩きながらも、みんなでひとつのものを目指すことができるということ。

春香がかつてこだわっていた「みんないっしょに」は、「みんな並んで同じ道を歩いて行くこと」でした。それは未完成の答えです。春香はアリーナで、その先に辿りつきます。美希の言葉がついに届きます。「春香は春香。765プロの一員だけど天海春香でもあるんだよ」。そう。

「私は天海春香だから」

なんだ、あたりまえのことじゃないか。
そうです、ホンっトあたりまえのこと。

でも春香さん、これが見えなくて、ずっとさまよってたんだよ。
やっとここまで来たんだよ。
お赤飯炊くか!

はー。

春香が成長した姿を見せつけるシーンが、直後に来ます。
アリーナを出て、春香と志保の会話(あ、これは志保編でと思ってたんだけどなー)。
春香の考え方を受け止めた上で、私はまだ同じ考え方はできません、と言う志保。このとき、春香はうれしそうな顔をします。あなたに同意できません、と言われたのに。
それは、志保は志保であって春香ではないから。「だって私は、北沢志保だから」です。ここで志保が流されてしまったら、春香の二の舞。春香がたどりついた先の姿を、志保はしっかり見ていました。
志保は、個人と個人として、真摯に春香と向き合ってくれました。まだ答えは形にできませんでしたが、それでいい。それはいつか「北沢志保の答え」を出してくれるということです。そう思えたことが、春香には何よりも嬉しかったのではないでしょうか。
人のことを自分のことのように喜べる、そういうところは相変わらずですね、春香さん。変化しても、大切なものはなくしていません。うんうん。

志保が答えを出すときを、春香は舞台の上で待っています。

完。

余談。
ふと思いました。みんながそれぞれの道を歩きながらも目指すひとつの輝き。
もしかしてそれが「ONE FOR ALL」? 
さすがに穿ちすぎでしょうか。


■「今の全部で」の巻■

テレビシリーズで春香が必死に守ろうとしていた「みんないっしょに」。このフレーズは劇場版でも幾度となく登場します。けれど、その意味するところは変化していっています。

2ndライブに向けて、春香が全員での練習に固執したのは、言ってしまえばエゴです。ライブのクオリティを上げるため、そんなことじゃない。自分の大好きな「みんないっしょに」を壊さないため。「春香はワガママなの」という美希の言葉がズバリです(また美希か!)。
でも、劇場版で可奈を見捨てなかったのは、それだけではない。絆を守るためだけではない。
「みんないっしょに」であってこそ、765プロの全力だから。そうでなければ最高のステージを実現することができないから。春香のこだわりでしかなかった「みんないっしょに」が、昇華されました。春香さん、ここまで来たんだよ!

プロデューサーの「今を大切に、悔いのないように」という言葉が、ずっと効いてきています。
あのとき縁側で、問題を先送りした代わりに、Pは春香に別の武器を与えました。それが「今を大切に、悔いのないように」。これが何度も春香を助けました。一度目は直後、Pのハリウッド行きに沈むみんなを立ち直らせるとき。二度目は可奈との電話のあと、春香が最後の踏ん切りをつけるとき。三度目は空っぽのアリーナで。
一度目はまだ、借り物の武器でしかありませんでした。二度目で、春香の中に吸収されはじめます。三度目は、春香に溶け込んで、春香の一部になりました。だから三度目は、自分の言葉で語れました。

「今の全部で!」

大人の現実解なんてクソくらえ!
60点で合格点? 解けない問題は飛ばせ?

うるせぇ、アタシは100点取るんだ!

口調は各自ご変換ください。

「みんないっしょに」の拡張。春香が新たに獲得した「みんな」の概念は、それはもう広いものです。765プロの仲間だけではない、後輩や、ファンや、春香が出会ってきたすべての人たち。どれひとつ欠けても春香はここに立っていなかった。どれひとつ欠けても春香の理想とする最高のステージにはならない。だから「今の全部で」、自分たちのもてる全ての力で。それが新しい「みんないっしょに」です。

今の全部で走り抜けてこそ、春香は春香の目指す未来にたどりつけます。
輝きの向こう側。すてきな場所だといいなあ、と春香は言いました。
今の春香さんならきっと大丈夫。

「ゼッタイだぞ!」

完(二度目)。


■「憧れを忘れなければ、いつか絶対」の巻■

もはやアニメシリーズどころではない感じです。
劇場版でこれを描いてくれたのは、本当にうれしかった。

歴代天海春香に連綿と受け継がれてきた、最強の武器。
意志の力、だと思うわけです。超個人的に。
意志の力がすべてを凌駕すると、自然に思えること。

「憧れを忘れなければ、いつか絶対」

劇場版では、春香が可奈に向けた言葉です。

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春香は可奈に「上達の早さは人それぞれだけど」と前置きしています。美希を意識しつつ……かどうかは定かでありません。ただ、対抗心や競争心から発した言葉ではないはず。春香のもっとずっと深い部分から、するっと出てきた言葉です。上達の早さは人それぞれだけど、憧れを忘れなければ、いつか絶対。才能やセンスの差は、時間はかかるけれど、意志の力で覆せる。自分に言い聞かせているわけではない。本当に、自然にそう思っている。ものすごいことです。イエス、春香さん。
実際に憧れと情熱だけから出発してここまでやってきた春香だからこその言葉です。たしかに現実離れした理想ではあるけれど、机上の空論ではなくて、実績がある。まあでもちょっと言葉にすると照れくさいのかな。先輩という立場に立って、後輩に向かうときにしか言わないんですよ、春香さんも。ちょっと先輩風吹かせてみたい日もあるんですよ。……ね?

そういう春香だから、可奈の意志をものすごく重視します。
可奈から杏奈へのメールを見てすぐの時点でも、可奈の意志を確かめなければいけない、というところだけはハッキリしていました。可奈がどういう事情を抱えているか、自分たちはそれに対応できるのか、そんなこと、どうでもいいんです(ひどい)。あきらめたのか、あきらめていないのか、それだけ。だから春香は、あきらめたくないという可奈の意志を確かめたら、それだけで大丈夫だと言い切りました。

ああ、こういう春香さんを描いてくれるんだなあ。

そんなことを考えてるときにね、エンドロールで流れてくるんですよ、例のやつ。
直撃したよね、虹色ミラクル。

 この右手に憧れを そう左に情熱を

右手に憧れ、左手に情熱。持っているのはそれだけ。それだけでいい。

おう おおおおおおぅ うっ うっ


完(三度目)。

(おまけ1)「だから春香はミキのライバルなのかも」
テレビシリーズで、ついに全面対決かと期待をもたせつつ、さらっと流されたアレとか。
美希は自分のポテンシャルを疑っていません。正当な自己評価です。でも春香はそれを意志の力で凌駕するかもしれない。「甘々」な理想家だけど、その理想を「固有結界・天海春香」で具現化してしまう。だから春香は美希のライバル。うむ。
でも言うとくけど、劇場版以降の春香さんは、炎となったガンバスターやからな。覚悟しときや。

(おまけ2)「あきらめたくないなら大丈夫」
それで本当にいけちゃうのかよ!
というのは、劇場版最大のツッコミポイントではあろうかと思います。いいんです、これはおとぎ話なんだから。豪腕春香さんは、意志の力で現実をねじ伏せる、おとぎ話のヒーローなんです。
でも、それがアイドルってものじゃないかと思います。劇場版のアオリでも言っているじゃありませんか。
「これがアイドルの理想像」

(おまけ3)矢吹可奈と北沢志保
志保は、春香が新たにたどりついた境地に触れました。そして可奈は、春香の一番古い、最奥のコアに触れました。この対比、ニクイよこの。二人の成長が楽しみです。

765プロのみんなが繰り返し語っていた「どうしたいかだけでいい」についても書きたかったところですが、もう疲れたよ、パトラッシュ。


■輝きの向こう側■

春香にとっての「輝きの向こう側」は、ずっと追い求めてきた「いつか絶対」が叶う瞬間、だと思います。それは、憧れがもはや憧れでなくなる瞬間でもあります。アイドル天海春香のすべてが報われる瞬間。そのとき春香は、満ち足りて舞台を降りるのかもしれません。

だから公式作品では描けないね!

完全な世代交代をするときか、アイドルマスターの最終作か……
公式に春香の姿を描くのはこれが最後ですよ、というときでない限り。

さあ、きらめく舞台でまた逢える!
(残りの前売り券を取り出しながら)


■春香さん編のおわりに■

満足したかどうかって言ったら、大満足ですよ!
じゃなかったら、こんなクッソ長いの書きませんよ。
そりゃ神さまがつくってんじゃないんだから、細かい不満はあるけどさあ。
でもそんなのいいよ。

最近、口が悪くなってまいりました。

この劇場版をもって初めて、自分の中の「THE IDOLM@STER」というアニメに決着が着いたかな、と思います。テレビシリーズはまだ「途中」の姿だったのだと。もちろん主観バリバリですが。でも、プロデューサーひとりひとりの主観を許容してくれるつくりだったと思います。

ここまでに書いたようなことを思いながら最後のライブシーンを観るとねえ。
もう、

ティッシュもうないから、今日はこの辺で勘弁してやらあ。

おおっと、こいつを忘れちゃいけねえ。

※個人の感想です。

その3、北沢志保編につづく。
(気力があれば)

Tag : アイドルマスター

コメント

No title

クソキモイ。

Re: No title

ありがとうございます!

No title

その3もその4も待ってます!

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